不動産用語『終身建物賃貸借制度』を解説【高齢者の住まい法】

不動産取引の初心者
『終身建物賃貸借制度』について教えてください。

不動産の研究家
それは、『高齢者の居住の安定確保に関する法律』に基づく制度で、バリアフリー住宅を高齢者が死亡するまで賃貸できる制度なんだ。

不動産取引の初心者
なるほど。でも、この契約は相続できないんですよね。

不動産の研究家
その通り。相続できないだけでなく、家主側からの契約解除も原則としてできないんだ。
終身建物賃貸借制度とは。
「終身建物賃貸借制度」とは、「高齢者の居住の安定確保に関する法律」に基づく契約制度です。都道府県知事の認可を受けたバリアフリー住宅などの高齢者向け賃貸住宅で、契約者は高齢者が亡くなるまで住み続けることができます。ただし、通常の賃貸契約と異なり、終身建物賃貸借契約は相続できません。また、建物の老朽化や特別な事情がない限り、家主側の契約解除はできません。
終身建物賃貸借制度とは?

「終身建物賃貸借制度とは?」
終身建物賃貸借制度とは、高齢者が生涯にわたって安心して暮らせる住まいを確保するための賃貸借制度です。年金収入など安定した収入がある方が対象となり、入居時にはまとまった頭金を支払い、その後は毎月賃料を支払います。この制度の特徴は、契約期間が生涯であるという点です。たとえ入居者が認知症などになったり、収入がなくなったりしても、住み続けることができます。また、相続権が発生せず、入居者が亡くなった後は契約が自動で終了します。
通常の賃借権との違い

通常の賃借権との大きな違いは、その期間にあります。通常の賃借権では、決められた契約期間が終了すると貸借関係は原則として終了します。しかし、終身建物賃貸借制度では、契約期間の終了後も賃借人が存命している限り、賃借関係は継続します。つまり、高齢者が安心して涯まで住み続けることができる点が大きな特徴といえるでしょう。
契約の解除条件

この制度では、契約解除条件が定められています。借主が死亡したり、認知症などで契約内容の理解が困難になったりした場合には、賃貸人が契約を解除することができます。また、借主が家賃を長期にわたって滞納した場合や、建物の利用目的を逸脱した場合(例えば住居を店舗にするなど)にも、賃貸人は契約解除の申し入れができます。ただし、高齢者に対する配慮から、一定の猶予期間が設けられているケースが多い点に注意が必要です。
高齢化社会に伴う制度の意義

高齢化社会が進む中、『終身建物賃貸借制度』が大きな意義を持っています。この制度は、高齢者が安心して住み続けられるよう、貸主と借主との間で生涯にわたる賃貸借契約を結ぶことを認めるものです。高齢化により住居を維持することが困難になっても、安心して住み続けることができ、住居の安定を確保できます。さらに、高齢者が賃貸住宅を利用することで、持ち家を手放すことができ、その売却益を生活費に充てることもできます。これにより、高齢者の経済的な負担を軽減する効果も期待できます。
終身建物賃貸借制度を利用する際の注意点

終身建物賃貸借制度を利用する場合、いくつか留意すべき点があります。まず、賃貸借期間は当事者同士の合意で定めますが、原則として解約できません。したがって、高齢になって介護が必要になったり、ライフスタイルの変化に伴って住み替えを検討したりする場合に影響が出る可能性があります。また、賃料は通常、一般の賃貸物件よりも割高に設定されることが多く、負担が大きくなることも想定されます。さらに、退去時には原状回復義務がありますので、老朽化による修繕費が発生する可能性があります。これらの注意点をよく検討した上で、利用を判断することが重要です。