不動産用語『追認』の基礎知識

不動産取引の初心者
先生、『追認』についてもう少し詳しく教えてください。

不動産の研究家
追認とは、本来は効力のない法律行為に、後から効力を持たせる意思表示のことだよ。

不動産取引の初心者
具体的にはどのような規定がありますか?

不動産の研究家
無権代理行為や無効な法律行為、取り消しうる法律行為の追認の規定があるよ。また、民事訴訟における能力欠缺者の訴訟行為も追認できるんだ。
追認とは
不動産にまつわる言葉の中に「追認」というものがあります。本来は法律上の効力を持たない行為に、効力を持たせる意志を表明することを指します。追認については、以下のような規定があります。
1. 無断で他人の代理をした行為は、もともと本人には効力が及びませんが、本人が追認すれば行為をした時から遡って効力が発生します(民法113条・116条)。
2. 無効な法律行為について、当事者がその無効を知った上で追認すると、新たに法律行為をしたのと同じ扱いになります(同法119条)。
3. 取り消すことができる法律行為を追認すると、確定したもの(もはや取り消せなくなる)になります(同法122条)。
4. 民事訴訟において、訴える資格、訴訟をする代理権、訴訟代理権のない人がした訴訟行為は無効ですが、後に資格を取得した人や訴訟代理権を与えられた人が追認すれば、行為をした時から遡って有効になります(民事訴訟法34条2項・59条・312条2項)。
追認の意義と効果

追認の意義は、有効な意思表示がない場合でも、第三者が有効な行為をした結果、あたかも本人が有効な意思表示をしたかのようにみなすことです。つまり、本人の事後的承認を要件としない、行為の追及となります。この制度は、第三者が本人のために有益な行為をした場合、その行為を保護し、法律関係を安定させることを目的としています。
追認の効果は、本人が有効な意思表示をしたものとみなすことです。追認がされた場合、その行為は無効にならないだけでなく、追認した時点にさかのぼって有効になります。さらに、追認は追認行為時において、本人に欠缺していた行為能力を補完します。ただし、追認はあくまで本人からなされなければなりません。第三者による追認は無効となります。
無権代理行為の追認

不動産取引において、無権代理行為とは、代理権のない者が、代理人として他人に法律行為をしたことを指します。この場合、法律行為の効力は、本人が追認するまでは発生しません。追認とは、本人が事後的に代理人の行為を有効なものと認める行為です。
追認は、形式的に拘束されるものではなく、口頭でも黙示的でも有効です。ただし、追認の効力は、代理行為がされた時から発生します。そのため、代理行為後、本人が代理人の行為を知ってからも相当の期間が無為に経過すると、追認ができない場合があります。
無権代理行為の追認ができないと、代理行為は無効となります。本人と相手方との間には一切の権利義務が成立しません。しかし、追認によって代理行為が有効になると、本人と相手方との間で法律関係が発生し、代理人がした契約などの法律行為の効力が生じます。
無効な法律行為の追認

法律上、無効な契約や権利関係は本来であれば無効であり、法律的な効果を持ちません。しかし、特定の条件下では、当事者が無効な行為を有効なものにする「追認」を行うことができます。追認とは、無効な行為に対して、後に当事者がその内容を承認して有効にすることを指します。ただし、すべての無効な行為が追認できるわけではありません。例えば、法令違反や公序良俗に反する行為は、追認によって有効にすることはできません。
取り消しうる法律行為の追認

追認は、取り消すことのできる法律行為(契約など)について、その効力を後から認め直すことを指します。例えば、未成年者による契約や、誤認や錯誤に基づく契約は取り消すことができますが、後からそれを認める意思表示をすることで有効にすることができます。ただし、取り消し権を行使する期間を過ぎると、追認することができなくなります。
訴訟行為の追認

訴訟行為の追認とは、訴訟手続きにおいて、本来訴訟行為を行う権限がない者が代理人として訴訟行為を行った場合に、当事者本人が事後にその行為を認めることを指します。
訴訟行為には、訴状の提出、準備書面の提出、期日の出頭などが含まれます。代理人がこれらの行為を当事者の委任なしに行った場合、無効となります。しかし、当事者が後に代理人の行為を承認すれば、事後的効力として無効が取り消され、訴訟行為が有効となります。
追認は、当事者が代理人の行為を知った後に行う必要があります。また、追認は文書もしくは口頭で行うことができますが、文書の方が証拠として有利です。追認が有効となるためには、当事者が代理人の行為を理解し、自らの意思で認めることが必要です。