層間変形角とは?地震時の建物の変形を表す重要な指標

不動産取引の初心者
先生、『層間変形角』って何ですか?

不動産の研究家
それは、地震などの時に建物が水平方向に変形する角度のことだよ。

不動産取引の初心者
なるほど、建物が揺れるときに床同士がどれだけ変形するかを表すんですね。

不動産の研究家
そうだね。ただし、建築基準法では建物の高さや構造によって許容される層間変形角が異なるよ。
層間変形角とは。
「層間変形角」とは、地震などの横揺れで建物がゆがんだときの、各階の間で生じる水平方向のゆがみの角度のことです。
法律では、高さ13メートル以上や軒の高さ9メートル以上の特定の建物について、安全性を確保するために以下のように規定しています。
* 「層間変形角が1/200以内」であること
* 木造在来工法など、地震の力で建物が大きくゆがむことがなく、建物に重大な損傷が生じにくい場合には、「層間変形角が1/120以内」であること
層間変形角の定義

層間変形角は、地震時に建物が受ける変形を表す重要な指標です。これは、特定の2つの階層間の変形率を表し、一般的に1階の変形を基準として計算されます。つまり、1階を基準として2階がどれくらい変形したかを表すもので、パーセント (%) で表されます。
建築基準法における規定

建築基準法における規定
建築基準法では、地震時の建物の変形を制限するため、層間変形角の許容値を定めています。この許容値は、建物の構造や高さ、耐震等級などによって異なります。一般的な建物の場合、層間変形角の許容値は1/120程度とされています。この許容値を超えると、建物の構造に損傷が生じ、倒壊の危険性が高まります。そのため、建築物は設計段階でこの許容値を満たすよう構造設計が行われます。
層間変形角が重要な理由

層間変形角が重要な理由は、地震時の建物の変形を把握する上で欠かせない指標であることにあります。地震が建物に作用すると、水平方向の揺れによって建物の各階が水平方向に変位します。この変位が大きいほど、建物の構造に大きなダメージが及ぶ可能性が高くなります。
層間変形角とは、隣り合う2つの階の変位量の差を、その間の階の高さで割ったものです。この値が高ければ、建物の層間の変形が大きいことを示し、建物の構造が損傷している恐れがあります。したがって、地震時の建物の安全性を評価するためには、層間変形角を正確に測定することが重要になります。
層間変形角を小さくするための建築手法

層間変形角を小さくするための建築手法は、地震時の建物の適切な変形を確保するために重要な手段です。これらの手法には以下が含まれます。
* -耐震壁の配置-耐震壁は建物の水平方向の力を負担することにより、層間変形角を抑制できます。壁の配置を最適化することで、建物の全体的な耐震性を向上させることができます。
* -免震構造-免震構造は、建物を地面から隔離することにより、地震の揺れを伝達するのを防ぎます。これにより、建物の層間変形角を大幅に低減できます。
* -制振構造-制振構造は、建物の揺れを制御するためにダンパーなどの制振装置を使用します。これにより、地震時の建物の変形が抑制されます。
* -ブレース構法-ブレース構法は、斜めに配置されたブレースを使用して建物の水平方向の力を負担します。この手法は、耐震壁と同様に、層間変形角を低減できます。
これらの建築手法を適切に適用することで、地震時の建物の変形を最小限に抑え、建物の安全性を確保できます。
層間変形角を考慮した耐震設計

地震時に建物は層間変形角と呼ばれる量によって変形します。各階の間で生じる相対的な角度の変化を表しており、建物の耐震性に大きく影響します。
層間変形角を考慮した耐震設計では、この変形角が許容範囲内になるように建物構造を設計します。建物の構造形式、部材の強度、ダンパーなどの耐震要素を用いて、地震時の変形を制御します。これにより、建物の倒壊や損傷を最小限に抑え、人命と財産を守ることが目的です。層間変形角を適切に考慮することで、地震に対してより安全で耐久性のある建物を実現することができます。