登記の公信力とは？不動産取引における重要な原則

2024-03-23

登記の公信力とは？不動産取引における重要な原則

不動産取引の初心者

『登記の公信力』について教えてください。

不動産の研究家

登記の公信力とは、登記上の表示を信頼して不動産の取引をした者が、たとえ登記名義人が真実の権利者でないような場合でも、一定の要件のもとでその権利を取得することが認められることをいいます。

不動産取引の初心者

つまり、日本では登記の公信力は認められないということですか?

不動産の研究家

その通りです。そのため、不動産の取引では、登記簿を閲覧するだけでは不十分で、真の権利者の確認が必要です。

登記の公信力とは。

登記の「公信力」とは、登記簿に記載された情報は信頼に値し、たとえ登記上の権利者が実際の権利者ではない場合でも、一定の条件を満たせば、登記簿を信頼して取引した者は権利を取得できることを意味します。

日本では、不動産については登記の公信力が認められていません。そのため、登記簿を頼りに登記上の権利者から不動産を購入しても、実際の所有者はその不動産を取り戻すことができます。したがって、不動産取引においては、登記簿の閲覧だけでは不十分とされています。

一方、動産については「占有の公信力」が認められています。そのため、売り手が所有者と信じて購入者が動産を購入した場合、購入者に落ち度がなければ、たとえ実際の所有者が別の人であっても、購入者は動産の所有者となることができます（民法192条）。

登記の公信力とは？その意味を解説

登記とは、不動産や動産などに関する権利関係を公の機関に記録することを指します。登記にはさまざまな種類がありますが、特に不動産取引において重要なのが「登記の公信力」です。登記の公信力とは、登記された権利関係が真実であると第三者に対して信頼できるという原則のことを指します。言い換えると、たとえ実際には権利関係が異なっていても、登記された内容を信頼して取引を行った者が損害を受けないように保護する制度です。

わが国の不動産取引における登記の公信力の扱い

わが国の不動産取引における登記の公信力とは、確定判決等と同等の権利の安定性を備えることをいいます。不動産に関する権利の変動や処分の情報は、原則として登記簿に記載されます。登記が完了すると、たとえ第三者がその事実を知らない場合であっても、登記簿に記載された権利が優先されます。これにより、不動産取引の安全性が確保され、権利関係が明確になります。

この公信力は、不動産の売買や担保権の設定などの際に、登記簿に基づいて取引を行う第三者が、登記簿に記載されていない権利や負担の存在を知らないことに基づく善意無過失を前提として保護されます。登記簿に記載されていない権利や負担があっても、第三者はそれを主張することはできません。ただし、登記簿に記載されていない権利が登記簿に記載されている権利と競合した場合、先順位の権利を有する者は、時効取得や所有権に基づく請求権を主張することができます。

登記簿のみの確認では不十分な理由

-登記簿のみの確認では不十分な理由-

登記簿の公信力とは、登記された事項は真実であると法的に推定されるという原則です。しかし、不動産取引において登記簿のみを確認するのはなぜ不十分なのでしょうか？

第一に、登記簿は過去の記録であり、現在の状況を反映していない可能性があります。例えば、登記簿には所有権が記載されていても、実際にはその所有者が不動産を第三者に売却している場合などです。

第二に、登記簿には所有権以外の権利関係が記載されていません。例えば、抵当権や賃借権などの権利は登記簿には記載されず、別に調査が必要です。

第三に、登記簿には虚偽の記載や不正が混入する可能性があります。例えば、書類偽造によって所有権が不正に登記される場合があります。

そのため、不動産取引では登記簿のみを確認するだけでなく、実地調査や公図の取得、関係者への照会などによって、現在の状況や権利関係を総合的に調査することが不可欠です。

動産取引における占有の公信力との違い

不動産取引では「登記の公信力」という原則が適用されます。これは、登記簿に記載された情報は、それ自体が真実であると推定されるというもので、取引の安全性を確保するための重要なルールです。一方、動産取引では、占有によって公信力が生じます。つまり、動産を占有している者は、それが自分の所有物であると推定されます。

この違いは、不動産と動産の違いに由来します。不動産は固定されており、移転が容易ではないため、登記簿によって権利関係を明確にする必要があります。一方、動産は容易に持ち運ぶことができ、占有によって事実上支配していることが容易に認識できるため、占有による公信力で足りるのです。