中古住宅の性能を可視化する「既存住宅性能表示制度」とは

不動産取引の初心者
先生、「既存住宅性能表示制度」ってなんですか?

不動産の研究家
既存住宅性能表示制度は、中古住宅の性能と現況を評価する制度だよ。

不動産取引の初心者
「現況検査」って、具体的には何を調べるんですか?

不動産の研究家
基礎、外壁、屋根などの状態を目視で確認し、評価書に記載します。
オプションで、腐朽や蟻害、耐震性能も評価できますよ。
既存住宅性能表示制度とは
不動産用語の「既存住宅性能表示制度」とは、中古住宅の状態を専門家が評価する制度です。
評価では、建物の品質や傷み具合を確認し、それを分かりやすい評価書として発行します。 評価項目は「現況検査」で、住宅性能評価機関の評価員が建物の基礎、外壁、屋根などの状態を目視で確認します。
さらにオプションとして、建物内部の腐食やシロアリの有無を調べる「特定現況検査」や、耐震性やメンテナンスのしやすさを評価する「個別性能評価」を受けることもできます。
検査費用は評価機関によって異なります。評価申し込みは、売主または買主のどちらでもできますが、買主が希望する場合には売主の許可が必要です。
既存住宅性能表示制度を利用した住宅では、住宅に関するトラブルが発生した場合に住宅紛争処理機関による紛争処理を利用できるなどのメリットがあります。
既存住宅性能表示制度の概要

既存住宅性能表示制度は、中古住宅の躯体や設備などの性能を客観的に評価・表示する制度です。
評価項目は、耐震性、耐久性、省エネルギー性、バリアフリー性など幅広く、第三者機関が現地調査を実施して評価を行います。
評価結果は、「性能評価書」として発行され、住宅の性能を数値化した形で見ることができます。
これにより、中古住宅の購入検討者が、住宅の特性やメリット・デメリットを容易に理解できます。また、住宅の価値を向上させ、流通を活性化することにもつながります。
現況検査の流れと内容

既存住宅性能表示制度では、「現況検査」と呼ばれる検査が行われます。この検査は、中古住宅の性能を第三者機関が評価するものです。検査の流れと内容は、次のとおりです。
まず、検査機関に申し込みを行い、日程を調整します。検査当日には、検査員が現地を訪れ、住宅の外観や構造、設備などの状況を目視で確認します。
さらに、必要な場合は、壁や床の非破壊検査や、給排水・電気設備の動作確認も行います。
検査時間は、住宅の規模や築年数によって異なりますが、一般的には数時間程度です。
検査の結果は、住宅性能評価書としてまとめられ、依頼者に提出されます。
住宅性能評価書には、住宅の耐震性、断熱性、耐久性、設備などの性能が評価された結果が記載されています。
この評価書は、中古住宅を購入する際の判断材料となり、住宅の資産価値を評価する指標にもなります。
特定現況検査と個別性能評価

「既存住宅性能表示制度」では、中古住宅の性能を評価するための2種類の方法が定められています。1つ目は特定現況検査です。
これは、住宅の構造や外観、設備などの現況を調査し、住宅の劣化状況や耐震性などを確認します。
もう1つは個別性能評価です。これは、専門家が建築基準法に基づいて住宅の性能を評価し、耐震性や断熱性などの性能等級を認定します。
これらの評価結果を組み合わせることで、中古住宅の性能をより詳細かつ正確に可視化することが可能になります。
検査費用の相場と利用方法

「既存住宅性能表示制度」を活用する際、気になるのが検査費用です。
この費用は、住宅の規模や築年数、検査項目数によって異なります。
相場としては、一般的には50〜100万円程度がかかることが多いようです。 この制度を利用するには、まず「登録住宅診断士」に依頼して住宅の検査を行います。
診断士は、住宅の構造や設備、劣化状況を調査し、性能評価を行います。
検査後は、性能評価結果を記載した「既存住宅性能表示書」が発行されます。
制度利用のメリットと注意点

-制度利用のメリットと注意点- 既存住宅性能表示制度を利用するメリットは以下の通りです。
住宅の性能を可視化することで、購入者が客観的な情報に基づいて住宅を選択できる。
住宅の価値を向上させることで、売買時の価格交渉が容易になる。
住宅の維持管理コストの削減に繋がる可能性がある。
一方で、注意すべき点もあります。
評価費用が高額になる場合がある(1戸あたり約10~20万円)。
評価結果はあくまで「性能」であり、「欠陥」ではないことに注意が必要。
制度がすべての住宅を対象としているわけではない(築20年以上の木造住宅が対象)。
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