消え去った不動産用語『みなし法人課税』

不動産取引の初心者
先生、『みなし法人課税』ってなんですか?

不動産の研究家
それはね、平成4年に廃止された制度で、不動産所得に法人税の特別税率を適用していたものだよ。

不動産取引の初心者
法人税の特別税率とは、通常の法人税率よりも低いってことですか?

不動産の研究家
正解。当時は不動産投資を促進するために、通常の法人税率よりも低い税率が適用されていたんだ。
みなし法人課税とは。
「みなし法人課税」という不動産関連の用語は、1992年の税法改正で廃止されました。
みなし法人課税とは

みなし法人課税とは、個人が不動産賃貸業を営む場合に適用される税制制度のことです。この制度では、個人が保有する不動産が一定の基準を満たすと、法人と同様に課税されることになります。この基準として、貸付面積が特定の規模以上であることや、貸付期間が5年以上であることなどが挙げられます。
みなし法人課税が適用されると、不動産賃貸業からの所得は個人の総合所得に算入されなくなり、法人税法に基づいて課税されます。そのため、個人の所得税率に比べて低い法人税率で課税されることになり、税負担の軽減が期待できます。
平成4年の税制改正で廃止された理由

平成4年の税制改正によって廃止された「みなし法人課税」という不動産用語があります。これは、個人が所有する土地や建物を法人所有とみなして課税する制度でした。廃止の理由としては、次の点が挙げられます。
まず、この制度は法人課税の負担軽減を目的としていましたが、それが不適切であると判断されたことです。法人の税率は個人よりも低いため、個人の不動産を法人所有とみなすことで税負担を軽減していました。しかし、これは公平性の観点から問題があり、個人と法人で税負担に差が生じることになります。
次に、この制度は不動産市場の歪みを生み出していました。法人所有とみなされると税負担が軽減されるため、個人は不動産を法人の名義で購入するようになりました。これにより、本来は個人向けの不動産が法人の手に渡り、個人向け不動産の供給が減少するなどの問題が生じていました。
このような理由から、「みなし法人課税」制度は廃止されました。これにより、不動産市場の歪みや税負担の不公平が解消され、より公平で健全な不動産取引の環境が整備されました。
法人と個人の税負担の差を是正

法人と個人の税負担の差を是正
「みなし法人課税」制度は、不動産を保有する個人が法人のような扱いを受け、税のメリットを得られる制度でした。しかし、この制度は法人と個人の税負担の差を拡大させ、公平性の観点から問題視されてきました。例えば、個人が保有する不動産の所得に対する税率は最高45%だったのに対し、法人が保有する不動産の所得に対する税率はわずか20%しかなく、個人は法人よりも大幅に高い税負担を強いられていたのです。この差は、相続時にも顕著であり、個人が保有する不動産を相続する場合には相続税が高く設定されていましたが、法人が保有する不動産を相続する場合には税率が低くなっていました。
不動産投資の活性化

不動産投資の活性化
「みなし法人課税」の廃止は、不動産投資市場の活性化につながると期待されています。この制度が廃止されたことで、不動産投資家は法人税率よりも低い個人税率で不動産所得を課税できるようになり、投資の負担が軽減されます。また、これまで個人事業主として不動産事業を行っていた投資家は、法人を設立することで法人税の適用を受けることができ、節税効果が期待できます。法人化のハードルが低くなることで、個人投資家がより積極的に不動産投資に取り組み、市場の拡大が進むと見込まれます。
現在の不動産投資における注意点

みなし法人課税の廃止に伴い、不動産投資における注意点は変化しています。現在では、個人による不動産賃貸業は原則として事業所得として扱われ、以前のみなし法人課税とは異なる税務上の取り扱いが適用されます。
個人による不動産賃貸業では、事業所得の収支に応じて所得税が課税されます。そのため、家賃収入から必要経費を差し引いた金額がプラス(黒字)の場合は申告し、納税する必要があります。また、事業所得は相続税の対象となるため、相続の際に高額な税金を支払う可能性もあります。
さらに、個人による不動産賃貸業では、青色申告を選択することで税制上の優遇措置を受けることができます。青色申告では、白色申告よりも一定の経費を多く損金として計上できるため、納税額を軽減できます。ただし、青色申告を選択すると記帳義務が生じ、帳簿の作成や保存が必要になります。