「指定流通機構」とは？不動産取引における役割を解説

2024-03-24

「指定流通機構」とは？不動産取引における役割を解説

不動産取引の初心者

先生、『指定流通機構』について教えてください。

不動産の研究家

指定流通機構とは、どのような目的で設立されたのか説明できますか？

不動産取引の初心者

物件情報を宅地建物取引業者間で交換し、契約相手方を探索するための仕組みですね。

不動産の研究家

そうです。そして、登録が義務付けられている物件の種類を教えてください。

指定流通機構とは。

1990年（平成2年）には、不動産に関する情報を迅速かつ広範に共有するために「指定流通機構」制度が導入されました。国土交通省（当時の建設省）によって37の流通機構が指定され、不動産取引における活用が進められました。

当初は、専属専任媒介契約に基づく物件は宅地建物取引業法により、専任媒介契約に基づく物件は標準媒介契約約款により、指定流通機構への登録が義務付けられていました。

しかし、より多くの物件情報を関係者が共有することで、取引の拡大と市場の透明化をさらに進める必要性が高まったため、1995年（平成7年）の宅地建物取引業法の改正で、専任媒介契約に基づく物件の登録も義務付けられました。また、指定流通機構の法的根拠を明確にすることも行われ、1997年（平成9年）4月からは「東日本流通機構」「中部圏流通機構」「近畿圏流通機構」「西日本流通機構」の4つの組織が国土交通省の許可・指定を受け、法人格を持つ組織として発足しました。

指定流通機構制度の発足と目的

不動産取引の円滑化と適正化を図るため、1998年に指定流通機構制度が発足しました。この制度の目的は、不動産の流通過程における情報の透明化と取引の安全性を向上させることにあります。指定流通機構に登録された不動産会社は、物件情報の正確性や取引の適正性を確保するための厳格な基準を満たしていることが求められます。これにより、消費者は安心して不動産取引を行うことができ、不動産市場の健全な発展に寄与しています。

不動産取引への活用

不動産取引において、「指定流通機構」は重要な役割を果たします。不動産会社が取引を仲介する際に、指定流通機構を利用することで、物件情報を一元管理し、媒介契約や重要事項説明などの取引プロセスを円滑に進めることができます。

指定流通機構への登録により、不動産会社は取引情報にアクセスでき、物件情報を広く公開したり、購入希望者とのマッチングを行ったりできます。また、指定流通機構は取引における仲介手数料や諸費用の管理も行い、取引の透明性と公平性を確保しています。

義務化の経緯と法的位置づけ

「指定流通機構」の義務化経緯と法的位置づけ

「指定流通機構」の制度導入は、2008年のリーマンショックを契機とする金融危機がきっかけです。この危機により、不動産市場にも混乱が生じ、不動産取引の透明性を高める必要性が高まりました。また、虚偽表示や不実告知などの不適切な取引が横行していたことも、制度導入の背景にあります。

2010年に「宅地建物取引業法」が改正され、不動産会社に「指定流通機構」に加入することが義務化されました。この制度によって、不動産取引において、不動産会社は指定流通機構を介して取引内容を公開することが求められています。これにより、不動産取引情報の透明性が向上し、売買双方が安心して取引できる環境が整いました。

法人格を有する組織の設立

「指定流通機構」は、法人格を有する組織として設立されなければなりません。法人格とは、法律上、個人とは別に権利や義務を持つことができる組織体を指します。法人格を有する組織を設立するには、目的や活動内容を定めた定款を作成し、公証役場で認証を受け、法務局に登記する必要があります。登記された組織は、法人格を取得し、それ以降は個人の意思とは関係なく、独立した組織体として活動できるようになります。