不同沈下・不等沈下のしくみと対策

不動産取引の初心者
先生、「不同沈下・不等沈下」って何ですか?

不動産の研究家
不同沈下・不等沈下とは、軟弱な地盤に建てた建物が、重みで地中の水分が逃げ、地盤が部分的に沈下して建物が傾く現象のことだよ。

不動産取引の初心者
軟弱な地盤に建物を作る時には注意が必要なんですね。

不動産の研究家
そう。建築前に地盤調査を行い、地盤改良工事をしっかり行うことが大事なんだよ。
不同沈下・不等沈下とは。
「不同沈下」とは、軟弱な地盤に建物を建てると、建物の重さで地中の水分が横に流れ出し、その分だけ地盤が沈下し、建物が傾く現象です。
造成地では、盛り土をしてすぐに建設したり、盛り土と掘り下げた地の境目に建物を建てたりすると、雨水などによって盛り土側の土が圧縮され、地盤や建物の基礎が場所によって不同沈下し、建物にひびが入ったり、傾いたりします。
こうした不同沈下を防ぐには、建築前に地盤調査を行い、地盤が弱い場合は地盤改良工事をすることが重要です。
また、「広域地盤沈下」は、建物などの重量物とは関係なく、地下水の過剰な採取などで地層が収縮して地面が沈む現象です。
不同沈下が起きる仕組み

不同沈下とは、建物の各部分が異なる速度で沈むことを指します。これは、地盤が均一でなく、一部がより早く圧縮・沈下することで発生します。建物が均等に沈まない場合、その重量配分が変化し、建物にひび割れや傾斜などの構造上の問題を引き起こす可能性があります。
不同沈下の原因はいくつかあります。地盤の組成の不均一性は一般的な原因の一つで、土壌の種類や密度が異なるため、地盤の沈下率に差が生じます。また、地下水の存在も影響します。地下水位が高いと、地盤が軟化して圧縮されやすくなり、不同沈下が起きやすくなります。さらに、建物に隣接する土木工事や地震などの外的要因が、地盤のバランスを崩して不同沈下を引き起こすこともあります。
不等沈下が起きる仕組み

-不等沈下が起きる仕組み-
不等沈下とは、地盤が場所によって異なる速度で沈下することを指します。この現象は、地盤の構成や強度に違いがある場合に発生します。
地盤が軟弱だったり、水分を多く含んでいたりすると、荷重がかかったときにすぐに沈下します。一方、地盤が固かったり、乾燥していたりすると、沈下は緩やかになります。
不同沈下の原因は、次の要因が考えられます。
* 土質の違い
* 地下水の変動
* 樹木の根の伸長
* 地盤掘削に伴う地盤の緩み
異なるタイプの地盤が接している場合、荷重がかかると軟弱な地盤の方が多く沈下します。また、地下水の変動によって地盤の含水量が変化すると、沈下挙動が異なります。さらに、樹木が地盤に根を張ると、根が水分を吸収して地盤を乾燥させ、沈下を促進します。地盤掘削によって地盤が緩むと、建物などの荷重を受けられなくなるため、不等沈下が発生する可能性があります。
地盤調査・改良工事の重要性

不同沈下・不等沈下を防ぐためには、適切な地盤調査と改良工事が不可欠です。地盤調査では、対象地の地盤の性質や支持力を把握し、将来的な沈下リスクを予測します。この調査結果に基づいて、不同沈下・不等沈下を抑えるための最適な改良工法が決定されます。
改良工事には、支持力を向上させる地盤改良や、沈下を均一化するための沈下抑制対策など、さまざまな手法があります。地盤改良では、セメントや砕石を地盤に注入したり、柱状地盤改良材で地盤を補強したりして、支持力を強化します。沈下抑制対策では、荷重を広い範囲に分散させたり、沈下量のばらつきを調整したりすることで、不同沈下・不等沈下を防ぎます。
広域地盤沈下の仕組み

広域地盤沈下の仕組み
広域地盤沈下とは、広い範囲にわたってゆっくりと地盤が沈む現象を指します。起こり得る原因としては、地下水の過剰汲み上げが挙げられます。地下水は地盤を支える土の粒子間に存在しており、大量に汲み上げられると地盤が圧縮され、沈下が発生します。
もう一つの原因は、軟弱な地盤に高い建物を建設することです。軟弱な地盤は荷重に耐え切れず、建物の重みによって沈下が生じます。また、建設工事に伴う振動や圧密も、地盤の沈降を促す要因となります。
さらに、地盤の構成物質も沈下の程度に影響します。砂質地盤は比較的安定していますが、粘性土や泥炭地など柔らかい地盤は沈降しやすい傾向があります。
沈下を防ぐための対策

不同沈下と不等沈下を防ぐ取り組みでは、地盤の沈下を防止するための対策が講じられています。まず、地面から深くに杭を打ち込む「杭基礎」を採用することで、地盤の支持力を高めて安定性を確保します。また、地下水位を低下させて地盤の圧力を下げる「井戸掘り」によって、沈下の原因となる地下水の過剰な挙動を抑えます。さらに、地盤を固める「地盤改良」や、軽量な材料を使用して建物の重量を軽減する「軽量化」などの方法が検討されます。これらの対策を総合的に講じることで、不同沈下や不等沈下の発生を抑制し、建物の安全性を確保することが目指されています。