不動産の証券化とは?その種類と国内の動向

不動産取引の初心者
「不動産の証券化」って何ですか?

不動産の研究家
不動産に関する権利を証券化して投資家に売ることで、一般に流通させることを指します。

不動産取引の初心者
「エクイティの証券化」と「デットの証券化」の違いを教えてください。

不動産の研究家
エクイティは所有権が移転する形態で、デットは不動産担保の貸付債権が移転する形態の違いがあります。
不動産の証券化とは。
「不動産の証券化」とは、不動産に関する権利を小さく分割し、多くの投資家に販売して流通させる仕組みのことを指します。ただし、この定義は明確ではなく、「証券」という言葉も一般的な有価証券の概念とは一致しません。
日本では1987年(昭和62年)頃から、「不動産の証券化」についてさまざまな議論が行われるようになりました。一般に、不動産の証券化には、不動産の所有権そのものが移転する「エクイティ証券化」と、不動産の所有権は移転せず、不動産担保の貸付債権が移転する「デット証券化」の2種類があります。
エクイティ証券化の代表例は、不動産小口化商品や国鉄清算事業団の土地信託方式です。デット証券化の代表例は、抵当証券や住宅ローン債権信託です。
また、エクイティ証券化とデット証券化を組み合わせた「ハイブリッド証券化」もあり、国鉄清算事業団が実施した不動産変換ローン方式がその例です。
不動産の証券化の基本的な考え方

不動産の証券化とは、不動産の収益を裏付けとする金融商品を発行し、投資家に販売することです。これにより、不動産の所有権を分担化し、より多くの人に不動産投資の機会を提供できます。
基本的な仕組みは、不動産を保有する特別目的会社(SPC)を設立し、SPCが不動産の収益を裏付けとする債券や投資信託を発行することです。投資家はこれらの証券を購入することで、不動産の収益を間接的に受け取ることができます。
不動産の証券化の2つの形態:エクイティとデット

不動産の証券化は、不動産を裏付け資産とした金融商品に変換するプロセスです。このプロセスによって、不動産投資家は分散された資産ポートフォリオへの投資が可能となり、流動性とリスク管理が向上します。証券化には2つの主要な形態があります。
エクイティ証券化では、不動産の所有権が投資家に証券化されます。投資家は、不動産のキャッシュフローと値上がり益から利益を得ることができます。この形態は、長期的な資本へのアクセスが必要な開発プロジェクトや大規模不動産に適しています。
デット証券化では、不動産に担保を付した債券が発行されます。投資家は、不動産の担保価値に基づいて定期的な利払いを受け取ります。この形態は、安定したキャッシュフローを生み出す既存の不動産に適しています。デット証券化は、より低いリスクプロファイルとより高い流動性を提供します。
日本の不動産の証券化の例:エクイティ

エクイティは、日本の不動産の証券化における一般的なタイプの1つです。これは、投資者が不動産の所有権の一部を購入する投資スキームです。投資家は、不動産の収益や損失を共有し、その収益の一部として配当金を受け取ります。エクイティ証券化は、投資家が不動産市場に直接投資するよりも低コストで不動産市場に参加できる手段を提供します。また、金融機関は、不動産をバランスシートから取り除き、融資能力を向上させることができます。
日本の不動産の証券化の例:デット

日本の不動産の証券化において、「デット」と呼ばれる手法が用いられています。この手法では、不動産の賃料収入やローン返済などの債権を証券化して投資家に販売します。投資家は証券を購入することで、不動産の債権に対する権利を取得し、償還期まで利息を受け取ることができます。
デット方式の証券化のメリットは、不動産投資の選択肢が多様化し、投資家がより分散されたポートフォリオを組むことができることです。また、銀行や保険会社などの金融機関にとっても、不動産融資への過度な集中を回避することができ、リスク管理に役立ちます。
ハイブリッド型の不動産の証券化

ハイブリッド型の不動産証券化は、資産担保証券(ABS)と不動産投資信託(REIT)の両方の特徴を備えたものです。ABSのように、複数の不動産からなるプールからキャッシュフローを担保として証券を発行します。ただし、REITと同様に、投資家は証券ではなく、投資信託の受益権を取得します。このハイブリッド構造により、投資家は不動産へのエクスポージャーを得ながら、REITが提供する流動性と多様性の恩恵を受けることができます。国内では、ハイブリッド型証券化は主に住宅ローン担保証券(RMBS)の分野で利用されています。