火災温度の基礎知識

不動産取引の初心者
先生、『火災温度』ってどういう意味ですか?

不動産の研究家
それは、火災発生から時間経過とともに上昇していく温度のことだよ。火災の規模や状況によって、上昇する温度は異なるんだ。

不動産取引の初心者
なるほど。例えば、住宅火災では、どのくらいまで上昇するんですか?

不動産の研究家
住宅火災の場合、火災発生から5~10分で約500℃まで上昇し、フラッシュオーバー現象が発生すると一瞬で1000℃を超えるんだ。
火災温度とは。
火災の際には、「火災温度」と呼ばれる温度が時間とともに上昇します。国際規格ISO834では、標準火災温度の例として、1時間後で945℃、2時間後で1049℃、3時間後で1110℃になるとしています。
住宅火災では、室内の温度は5~10分程度で約500℃まで上昇し、さらに火災により発生した可燃性ガスに引火して「フラッシュオーバー現象」が起きると、一瞬にして1000℃に達します。この上昇やフラッシュオーバーを防ぐため、建築基準法では、キッチンや浴室などの火を使う場所では、耐火・防火性能のある材料を使用することを義務付けています。
火災温度とは

火災温度とは、物質が燃焼する際に発生する熱が、周囲の環境に与える影響を示す指標です。火災の規模や進行具合、消火に必要とする資源の量を予測するために不可欠な要素となります。火災温度は、燃焼する物質の種類、火災の段階、消火に使用される手段など、さまざまな要因によって異なります。一般的に、木材や紙などの軽質材料は低い火災温度で燃焼しますが、プラスチックや石油製品などの重質材料は高い火災温度で燃焼します。また、火災の初期段階では、火災温度は比較的低く、燃焼が激しくなるとともに上昇します。
ISO834で定められた標準火災温度

火災温度の基礎知識
火災の温度は火災の規模や条件によって大きく異なりますが、ISO834(国際標準化機構)で、建物の耐火構造の設計に使用される標準火災温度曲線が定められています。この曲線は、火災の初期段階から燃焼が完全に終了するまでの温度上昇を時間経過とともに表しています。
ISO834の標準火災温度曲線では、火災開始から5分間で580℃、30分間で820℃、60分間で960℃に達します。その後、温度は1,020℃で一定に保たれます。ただし、実際の火災では、温度曲線は材料や構造物によって影響を受け、異なる場合があります。
住宅火災における火災温度の上昇

住宅火災における火災温度の上昇は、消火活動や火災の調査において重要な要素です。火災時の温度は、建物の崩壊や煙の発生などの結果に大きく影響します。住宅火災では、温度の上昇は急速かつ劇的である可能性があります。
火災が始まると、温度は急速に上昇し、わずか数分で数百度に達することがあります。この温度上昇は、可燃物の燃焼と、建物内の空気の熱膨張によるものです。また、煙と燃焼ガスの層が天井にたまり、温度の上昇をさらに加速させます。
火災の最初の段階では、床に近い部分は最も温度が高くなります。これは、火災が床から始まることが多く、床の可燃物が最初に燃焼するためです。しかし、火災が進行すると、天井にたまった煙と燃焼ガスが熱を放出し、天井付近の温度が高くなります。最終的には、天井の温度は床の温度を超えて、建物の崩壊を引き起こす可能性があります。
フラッシュオーバー現象

フラッシュオーバー現象は、火災の初期段階で発生する危険な現象です。可燃物が空気中の酸素と反応して十分な熱を発生すると、室内空間に発生した煙に含まれる未燃焼のガスが着火し、一気に燃え広がります。この瞬間的な燃焼によって、室内の温度が急上昇し、可燃物が瞬時に発火します。この高温と可燃性ガスの急速な燃焼により、極めて高い火災温度が発生し、人の命を脅かすだけでなく、建物の構造にも深刻な損傷を与えます。
建築基準法における火災温度対策

-建築基準法における火災温度対策-
建築基準法では、火災の発生による人命の安全の確保を目的として、火災温度対策が定められています。建築物の構造や用途によって、火災時に発生する高温から人命を守るための耐火性能が求められます。
具体的には、避難経路や居室を構成する要素(柱、梁、壁、床など)が、一定時間以上耐火構造となるように設計されています。これにより、火災発生時に避難者が安全に避難できる時間を確保し、被害を最小限に抑えることができます。また、特定の用途の建物(例大規模商業施設)では、スプリンクラー設備や排煙設備の設置が義務付けられており、火災の拡大防止と鎮圧に役立てられています。