資産評価における「価格時点」

不動産取引の初心者
『価格時点』とは何ですか?

不動産の研究家
不動産の鑑定評価を行う際に、その時点における価格を決定するための基準となる年月日のことです。

不動産取引の初心者
通常はどの時点を設定するんですか?

不動産の研究家
通常は鑑定評価を行っている時点ですが、依頼によっては過去時点や将来時点を設定することもあります。
価格時点とは。
不動産鑑定評価では、対象不動産の価値を評価する基準として「価格時点」を定めます。価格時点とは、不動産の価値を算定する際の時点を指します。通常は鑑定評価を実施した現在ですが、場合によっては過去の時点や将来の時点になることもあります。
ただし、あまりにも過去にさかのぼった時点や、予測が困難なほどの将来の時点は、必要な資料を収集できないか、予測が不確実になるため、鑑定評価としてはふさわしくありません。したがって、このような極端に古い時点や将来の時点を価格時点として設定することはできません。
また、賃料を評価対象とする場合、価格時点は賃料の算定期間の収益性を反映するために、その期間の開始時点となります。
価格時点の重要性

資産評価において、「価格時点」とは、資産の価値が測定される時点のことです。この時点は、評価の目的やコンテキストによって異なります。資産の売却や買収のための評価では、通常、取引日が価格時点になります。一方、財務報告目的の評価では、決算日や報告日などが価格時点となります。
価格時点が重要である理由は、時間の経過とともに資産の価値が変動するためです。経済状況、市場動向、技術的進歩などが資産価値に影響を与える可能性があります。したがって、正確な資産評価を行うためには、適切な価格時点を選択することが不可欠です。
さらに、価格時点は、評価に使用されるデータや方法にも影響を与えます。例えば、過去の財務データに基づく評価では、評価時点に近いデータが最も関連性が高いと思われます。逆に、将来のキャッシュフローに基づく評価では、価格時点以降の予想が考慮されます。
通常時の価格時点

通常時の価格時点とは、経済活動が通常通り行われている時期の価格時点を指します。この時点では、市場は安定しており、需要と供給のバランスが適切に保たれています。また、外部的な要因によって価格が歪んでいないことも特徴です。
通常時の価格時点は、不動産や株式などの資産の価値を評価する際に用いられることが一般的です。この時点では、資産の価値が経済活動の健全性を反映しているため、より正確な評価が可能になります。逆に、経済危機や不況期など特殊な状況下では、市場の混乱により資産の価値が一時的に乖離することがあります。そのため、通常時の価格時点を基準として評価することが重要です。
特殊な価格時点

資産評価において、「価格時点」とは、資産の評価が行われた時点のことです。この価格は通常、売買取引が行われた時点と一致しますが、特殊な場合では異なる時点になる場合があります。
特殊な価格時点の1つとして挙げられるのが、債券評価における「満期日」です。債券は一定の償還期間を持つため、償還日時点の現金価値が評価対象となります。また、株式評価における「配当落ち日」も特殊な価格時点の例です。配当落ち日には株価が配当金相当分下落するため、当日の株価は配当考慮後の評価になります。
さらに、オプション取引における「行使日」も特殊な価格時点です。オプション取引では、オプションの行使によって行使時点の株価に基づく利益または損失が発生します。そのため、評価時点は行使日となるのです。
設定できない価格時点

「設定できない価格時点」とは、資産の評価において、合理的な価格を設定することが困難な時期を指します。多くの場合、市場の不確実性、過度の変動性、または関連する情報が限定されている状況で発生します。このような場合、評価者は便宜上、特定の時点の資産価値を仮定する必要があります。しかし、この仮定値は市場の現実を正確に反映しているとは限りません。
賃料の価格時点

賃料の価格時点では、賃料評価における「価格時点」を検討します。賃料評価においては、特定時点における賃料を評価することが重要です。この時点は、通常、評価時点またはベース日として知られています。この時点における賃料は、将来の賃料キャッシュフローの現在価値を計算するために使用されます。
賃貸借契約が短期間のものである場合、評価時点は通常、契約開始日になります。ただし、長期リース契約では、評価時点は契約開始日ではなく、その後の時点になる場合があります。これは、契約期間中に賃料が調整される可能性があるためです。この場合、評価時点は、賃料調整が行われた時点または今後行われる時点になります。