不動産における「公示の原則」と「公信の原則」

不動産取引の初心者
公示の原則について教えてください。

不動産の研究家
公示の原則とは、物権の変動が常に外部から認識できるよう一定の表象(公示方法)がなされなければならない、という原則です。

不動産取引の初心者
公信の原則との違いはなんですか?

不動産の研究家
公信の原則は、外形的表象を信頼して取引した者が、たとえ表象が真実と一致しない場合でも、その表象どおりの権利を認められるという原則です。公信の原則は動産にのみ適用され、不動産には適用がありません。
公示の原則とは。
「公示の原則」と「公信の原則」は、物権法における重要な原則です。
「公示の原則」とは、物権の変動は必ず第三者が認識できるよう、一定の方法で表す必要があることを意味します。これにより、物権の権利者は自分の権利を保護することができます。
「公信の原則」とは、第三者が公示された表象を信頼して取引をした場合、その表象が真実と一致しなくても、その表象どおりの権利が認められることを意味します。つまり、善意の第三者は、正確な情報が公示されていない場合でも保護されます。
不動産の場合、公示方法は「登記」であり、物権の得喪や変更を対抗するためには登記が必要です。ただし、農地や建物などの賃借権は「引き渡し」が公示方法となります。
動産の場合、公示方法は「占有」です。物権の得喪や変更を対抗するためには、引き渡しが必要となります。ただし、航空機や自動車などの動産は「登録」が公示方法となります。
「公信の原則」は動産にのみ適用され、不動産には適用されません。
公示の原則とは

不動産取引において重要な原則の一つが「公示の原則」です。この原則は、不動産に関する権利関係を社会的に明らかにしておくべきという考えに基づいています。つまり、不動産の所有者や担保権者などの権利を、登記簿という公的な制度に記録することで、誰でも閲覧できるようにします。これにより、第三者は安心して不動産取引を行うことができます。
公示方法:不動産と動産

不動産において、公示の原則とは、法律上保護されるべき権利関係を第三者に広く公開し、第三者がそれらの権利関係の存在を知り得る状態にすることを指します。不動産取引においては、公示は登記簿への記載によって行われます。登記簿は不動産に関する権利関係を記載した公的な記録簿であり、誰でも閲覧することができます。
一方、公信の原則とは、登記簿に記載された権利関係は真実であり、第三者はその記載を信頼して取引できることを意味します。つまり、登記簿に記載されている権利が真の権利であると推定され、第三者は登記簿記載の権利を信頼して取引を行うことができるのです。この公信の原則により、不動産取引における安全性が確保されています。
不動産と動産の公示方法は異なります。不動産は登記簿への記載によって公示されますが、動産は占有などによって公示されます。動産は物理的なモノであり、それを占有することで第三者にその権利の存在を知らしめることができます。
公信の原則の対象

-公信の原則の対象-
不動産登記における公信の原則とは、登記簿に記載された事項について、善意の第三者はその登記簿の内容を信頼でき、たとえその記載に誤りがあっても、その第三者はその内容に基づいて行った法律行為を保護されることを意味します。
この原則の対象となるのは、登記簿の記載事項すべてです。具体的には、所有者、抵当権者、地役権者などの権利者情報、建物の構造や面積などの物件情報、所有権や抵当権の移転、設定などの権利変動情報などが含まれます。ただし、所有権以外の権利(例えば、地上権や賃借権など)については、善意の第三者がその存在を知っていた場合は、公信の原則の対象となりません。
公信の原則の根拠

-公信の原則の根拠-
公信の原則を支える基本的な法理は、信義則に基づく社会通念です。取引の安全性と公正性を確保するために、各人が正当な権利に基づいて不動産を取得することを前提に取引を行うことが必要とされています。
この信義則は、民法第1条に規定する「法律行為は、誠実信義に則ってこれを行うべきもの」という原則に由来します。この原則により、取引相手に対して誠実に情報を提供し、正当な権利を尊重することが求められます。
また、土地登記の制度も公信の原則を支える重要な要素です。土地登記においては、所有権の移転や抵当権の設定などの権利変動が明確かつ公示されるため、取引当事者が正当な権利に基づいて取引を行うことが可能になります。
実務への影響

不動産における公示の原則と公信の原則は、実務に大きな影響を与えます。公示の原則により、権利関係を公に示すことが義務付けられます。これにより、第三者が権利関係を容易に確認でき、取引の安全性が確保されます。一方、公信の原則は、登記された内容を信頼できるものと定めています。従って、登記された内容を信頼して取引を行った者に対して、その内容が真実でなかったとしても保護されます。
これらの原則により、不動産取引が安全に行える基盤が構築されています。例えば、登記簿に記載された所有者が実際の所有者でない場合でも、公信の原則によって登記簿の内容を信頼して取引を行った者は保護されます。また、公示の原則により、権利関係が公に公開されているため、第三者は取引前に権利関係を調査することができ、潜在的なリスクを回避できます。