所有権留保等の禁止ってなに?

不動産取引の初心者
『所有権留保等の禁止』について説明して下さい。

不動産の研究家
売主が売買の目的物を買主に引き渡しても、所有権を移転せず自分に留保することや、譲渡担保として譲り受ける取引方法のことです。

不動産取引の初心者
なぜ禁止されているのですか?

不動産の研究家
売主の二重売買や倒産によって、買主が所有権を失ったり、不測の損害を被る危険性があるためです。
所有権留保等の禁止とは。
「所有権の留保などの禁止に関する不動産用語」
売買の際に、売主が物件を引き渡しても所有権を移転せず、自分に残しておく(所有権留保)や、売主が買主から所有権を譲り受ける(譲渡担保)などの取引方法があります。
このような取引では、売主が二重売買したり倒産したりした場合、買主は思いがけない損害を受けるリスクが高くなります。そのため、宅地建物取引業法では、宅建業者自身が売主となる場合で、
・分割払い販売を行う場合、買主が代金の3分の1を超える支払いをすれば、所有権を留保してはならない(宅建業法43条1項)
・譲渡担保として譲り受けてはならない(同条2項)
・一定の提携ローン付き売買で、業者が買主の債務を保証する場合でも、買主が3分の1を超える弁済または支払いをすれば、所有権留保は禁止される(同条3項)
と定められています。
所有権留保の意味

所有権留保とは、売買契約において、買い手が商品を受け取っても、売主が一定期間所有権を留保することを指します。つまり、商品代金が完全に支払われるまでは、商品の所有権は売主にあります。この留保期間は、通常は商品引き渡し日から一定期間と定められます。この仕組みは、売主が買い手の支払能力に不安がある場合に、商品を買い手が自分のものにしてしまうことを防ぐために用いられます。
譲渡担保の意味

譲渡担保とは、債務者が債務を履行できない場合に、債権者が債務者の所有する動産や不動産を譲り受けて債権を弁済することを認めた契約のことです。この場合、動産や不動産は債権者の所有となり、債務者は担保権者としての地位を失います。譲渡担保は対抗要件を備えています。つまり、債権者は第三者に対しても、動産や不動産に対する所有権を主張できます。
所有権留保等の危険性

の「所有権留保等の危険性」について見ていきましょう。所有権留保とは、売買契約において代金を完済するまでは、売主が商品の所有権を留保する条項のことです。つまり、代金を完済するまで商品を自由に処分したり、担保として提供したりすることができません。
この条項は売主にとってのメリットがありますが、買主にとってはリスクとなります。買主が代金を完済できない場合、売主は商品を取り戻すことができます。また、買主が商品の所有権のない状態のまま、商品を担保として借金をした場合、借主は商品を回収されてしまう可能性があります。さらに、買主がリース会社などから商品を借り入れて使用している場合、売主が所有権を持っているため、レンタル料の支払いが滞った場合には商品を引き上げられてしまうリスクもあります。
宅建業法における所有権留保等の禁止

–宅建業法における所有権留保等の禁止–
宅建業法では、宅建業者が買主に対して、売買代金の支払いが完了するまで所有権を留保することを禁止しています。これは、買主が代金を支払ったのに住宅などの不動産の所有権を取得できないというトラブルを防ぐためです。また、所有権留保だけでなく、買主の利用・処分を制限するような条項を設けることも禁止されています。例えば、買主が家を賃貸に出したり、担保に供したりすることを禁じる条項は、所有権留保等の禁止規定の趣旨に反するため無効となります。
提携ローン付売買における所有権留保

提携ローン付売買における所有権留保とは、売主と住宅ローン会社が提携している場合に発生する問題です。通常の売買では、代金を全額支払うまでは買主に所有権が移りません。しかし、提携ローン付売買では、売主が住宅ローン会社に代金を請求し、買主は住宅ローン会社に返済を行います。そのため、売主は所有権を第三者に譲渡したとしても、買主が住宅ローンを完済するまで所有権を留保する必要があります。
この所有権留保により、買主にとっての問題が発生します。買主は代金を全額支払ったにも関わらず、所有権が移転しないため、自由自在に処分することができないのです。また、買主が住宅ローンを滞納すると、売主は所有権に基づいて建物を競売にかけることができます。そのため、買主は所有権留保を解除して、早めに所有権を取得することが重要です。