中間省略登記とは?不動産用語をわかりやすく解説

不動産取引の初心者
中間省略登記について教えてください。

不動産の研究家
はい。中間省略登記とは、所有権が複数回移転する場合に当事者の合意により、中間的な移転登記を省略して直接最終的な移転登記を行う登記のことを指します。

不動産取引の初心者
中間省略登記は有効なのですか?

不動産の研究家
はい。当事者全員の合意があれば、実態を反映していないとしても有効とされています。ただし、紛争を避けるため、中間者に承諾書を徴収しておくことが望ましいとされています。
中間省略登記とは。
不動産取引で「中間省略登記」と呼ばれる登記の方法があります。本来であれば、不動産の所有権がA氏からB氏、B氏からC氏へと移った場合、登記簿にはそれぞれ「AからBへの所有権移転登記」と「BからCへの所有権移転登記」の2件が記録されます。しかし、当事者間で話し合った結果、「AからCへの所有権移転登記」を1件のみ申請して登録する場合があります。
この「中間省略登記」は、実際の所有権の移転状況とは異なる登記ですが、現在の所有者(C氏)が登記簿上も所有者になっているという実態に合致しています。そのため、当事者全員の同意があれば、過去にされた中間省略登記も有効と認められています。
また、不動産取引においては、後々紛争が生じた場合に備えて、中間者(この例では登記簿上に記録されていないB氏)から、中間省略登記に異議がない旨の承諾書を取得しておくことが望ましいとされています。
中間省略登記とは何か?

中間省略登記とは、不動産の所有権移転登記の際に、中間で発生する権利関係を省略して、最終的な権利関係のみを登記する手続きです。例えば、AさんがBさんに不動産を売却し、その後BさんがCさんに再売却した場合、通常はAさん→Bさん→Cさんと順を追って所有権移転登記を行います。しかし、中間省略登記では、Aさん→Cさんと最終的な権利関係のみを登記します。このことにより、登記手続きの手間や費用が簡略化されます。
なぜ中間省略登記が使われるのか?

中間省略登記は、不動産の売買などで、所有権移転登記を一度に行うのではなく、中間段階を挟んで行う登記方法です。この手法が用いられる理由は主に3つあります。
まず、税金対策が挙げられます。不動産売買では、所有権移転の際に登録免許税がかかります。中間省略登記を利用すると、最初の売主から中間所有者への所有権移転では登録免許税がかからず、中間所有者から最終買主への移転時にのみ課税されます。これにより、税金の総額を抑えられる可能性があります。
次に、民事信託を活用する場合です。民事信託とは、信頼できる第三者に財産を委ね、管理処分してもらう制度です。中間省略登記を用いることで、財産を信託契約の開始時点では第1所有者に、終了時点では第2所有者に所有させることができます。これにより、受託者は財産を自由に管理処分しながらも、最終的には第2所有者に権利が移転するという仕組みを実現できます。
また、相続財産の分割にも利用されます。被相続人の所有する不動産を相続人全員で相続する際、中間省略登記を介して一度相続人全体の共有名義とすることで、相続後の所有関係の変更が簡便になります。
中間省略登記の有効性

中間省略登記の有効性
中間省略登記は、法律上認められた制度であり、その効力は正式な登記と変わりありません。ただし、中間省略登記の名義人は、登記簿上の所有者とは異なるため、登記簿上は本登記が完了するまでは前の所有者名義のままとなります。そのため、中間省略登記をした所有者は、本登記が完了するまでは、抵当権の設定や売買などの取引を行うことができません。
中間省略登記の手続き

中間省略登記の手続きは、一般的に次の手順で行われます。
1. -登記申請書の提出-登記をする不動産の所在地を管轄する法務局に、登記申請書と必要な書類を提出し、登記官に審査を依頼します。
2. -書類の審査-登記官が申請書や書類の内容を審査し、不備があれば指摘します。指摘事項を修正し、補正書類を提出します。
3. -登記官の許可-審査の結果、手続きに問題がなければ、登記官から許可が下り、登記がされます。
4. -登記完了証の交付-登記が完了すると、登記官から登記完了証が交付されます。この証書は、登記が完了したことを証明する書類です。
中間省略登記の注意事項

中間省略登記の注意事項として、中間省略登記を行う際にはいくつかの留意点があります。まず、 中間省略登記は後で正式な登記を完了する必要があるということです。そのため、本来の所有者が名義を戻す意思がない場合は、中間省略登記を避ける必要があります。また、 中間省略登記の効力は、中間省略登記を行った日から効力発生するため、それ以前に不動産を第三者に譲渡・売却した場合、中間省略登記の影響を受けません。さらに、 中間省略登記を行った後、名義人であった者が死亡した場合、相続により権利が移転する可能性があるため、その点も考慮する必要があります。