パルプセメント板打ち付け軸組とは?耐力壁の役割とメリット

不動産取引の初心者
「パルプセメント板打ち付け軸組」について教えてください。

不動産の研究家
パルプセメント板打ち付け軸組とは、木造住宅において、柱と横架材の間にパルプセメント板を張って耐力壁としたものです。

不動産取引の初心者
パルプセメント板ってどんな材料ですか?

不動産の研究家
パルプセメント板とは、紙繊維とセメントを混合して圧熱成型した板材で、厚さは8mm以上あります。耐力壁として使用でき、建築基準法ではその耐力(壁倍率)を1.5としています。
パルプセメント板打ち付け軸組とは。
木造住宅における「パルプセメント板打ち付け軸組」とは、柱(縦の部材)と横架材の間に8ミリ以上の厚さのパルプセメント板(紙の繊維とセメントを混ぜ合わせて熱で成形した板)を打ち付けて耐震壁を作った構造のことです。建築基準法では、この耐震壁の強さ(耐力)は1.5倍として定めています。
また、この耐震壁の中に斜めに筋交いを入れて、さらにその上から構造用合板などを張った場合、筋交いの強さも耐震壁の強さに加算することができます。例えば、3ツ割筋交い(耐力1.5倍)と組み合わせて使用した場合、耐震壁の強さは「1.5+1.5」で3.0倍になります。
パルプセメント板打ち付け軸組の特徴

パルプセメント板打ち付け軸組の特徴は、主に以下の通りです。
この工法では、柱や梁などの構造材に、パルプセメント板が打ち付けられます。パルプセメント板は、パルプとセメントを混合して作られた板材で、軽量で耐水性・耐火性に優れています。この板材を打ち付けることで、構造体の耐震性能を向上させることができます。
建築基準法における耐力壁としてのパルプセメント板

建築基準法では、建物の壁には一定の耐力が求められています。この耐力を確保するために用いられる壁を耐力壁と呼びます。パルプセメント板は、耐水性に優れ、耐久性や寸法安定性にも優れた素材です。そのため、建築基準法においても耐力壁として認められています。パルプセメント板は、ラーメン構造や軸組構造など、様々な建築工法に使用されており、建物の安全性を確保する上で重要な役割を果たしています。
筋交いと構造用合板との併用による耐力向上

パルプセメント板打ち付け軸組では、筋交いと構造用合板を併用することで、より高い耐力を実現することができます。筋交いは引張力に強いため、地震時の横揺れを受け止めます。一方、構造用合板は面材であるため、剪断力に強く、地震時の壁面崩壊を防ぎます。この2つの材料を併用することで、水平方向の力に対する耐力が向上し、地震時の建物の安全性がさらに高まります。
パルプセメント板打ち付け軸組のメリット

パルプセメント板打ち付け軸組は、耐力壁として高い性能を発揮するだけでなく、多くのメリットを備えています。
まず、施工性の高さが挙げられます。軽量で加工が容易なパルプセメント板を打ち付けるため、作業がスムーズに進行します。また、防音性に優れているため、騒音対策にも効果的です。加えて、耐火性も高く、火災時の延焼を防ぐ役割を果たします。さらに、耐震性にも優れ、地震時の揺れに対して変形しにくいため、建物の安定性を保ちます。
パルプセメント板打ち付け軸組の留意点

-パルプセメント板打ち付け軸組の留意点-
パルプセメント板打ち付け軸組を使用する際には、いくつか留意すべき点があります。釘のサイズや間隔が適切であることを確認することが重要です。釘のサイズや間隔が不適切だと、耐力壁として十分な強度の確保ができない可能性があります。また、パネル同士の継ぎ目は適切に処理する必要があります。継ぎ目が不適切に処理されると、雨漏りなどの問題が発生する可能性があります。さらに、壁の下地として使用する木材は十分な強度を確保できるものを使用する必要があります。木材が十分な強度を確保できないと、壁が歪んだり崩壊したりする可能性があります。上記のような留意点を遵守することで、パルプセメント板打ち付け軸組を安全かつ効果的に使用できます。