【不動産売買】改正民法の無過失責任って?

不動産取引の初心者
不動産関連の用語『無過失責任』について教えてください。

不動産の研究家
『無過失責任』とは、故意・過失がなくても責任を負わなければならないことを指します。民法では通常、故意・過失がある場合に損害賠償責任を負いますが、特定の状況では無過失責任が求められます。

不動産取引の初心者
無過失責任が求められる背景にはどのような考え方があるのですか?

不動産の研究家
無過失責任が求められる背景には、社会に危険を与えた者は責任を負うべきという『危険責任』の考え方と、利益を得た者は損害賠償責任を負うべきという『報償責任』の考え方が拠りどころになっています。
無過失責任とは。
不動産の分野でよく使われる「無過失責任」とは、故意や過失がなくても責任を負うことを指します。
法律の基本では、故意や過失があった場合に損害賠償を求めることができますが、特定の状況では無過失責任が負わされます。この責任が求められる理由は、「社会に危険をもたらした者は、危険を防止する能力があるため、その結果発生した損害に責任があるべきだ」とする危険責任と、「利益を得るために発生した損害には、賠償責任があるべきだ」とする報償責任の考え方が背景にあります。
例えば、不動産の売買で取引された物に不具合があった場合、以前は「瑕疵担保責任」として売り手が無過失責任を負っていました。しかし、2020年に民法が改正されて「瑕疵担保責任」は「契約不適合責任」に変わりました。これにより、売り手は自分が責任を負わない欠陥については損害賠償を負わなくなりました。
なお、民法改正前は「瑕疵担保責任」には、欠陥を修理・補修する権利(追完請求権)や、代金を減らす権利(代金減額請求権)の規定はありませんでしたが、改正民法ではこれらの権利が明文化されました。契約不適合による買い手の契約解除権、追完請求権、代金減額請求権については、売り手が無過失責任を負うことになります。
無過失責任とは?

「無過失責任」とは、契約を締結した当事者の一方に過失がなくても、契約に基づく義務違反をした場合に、損害賠償責任を負うことを意味します。つまり、たとえ当事者に落ち度がなくても、契約内容を適切に履行できなかった場合には、損害賠償を支払わなければならない可能性があるのです。
不動産売買における無過失責任

不動産の売買において、改正民法により無過失責任が導入されました。これは、売主がその物件に欠陥があったことを認識していなくても、買主がその欠陥を発見した場合に損害賠償請求できることを意味します。例えば、建物がシロアリ被害を受けていたのに売主がそのことを知らなかった場合でも、買主は損害賠償を請求することが可能になります。この無過失責任は、買主の権利を保護することを目的としています。
改正民法による瑕疵担保責任の変更

2020年の改正民法により、不動産売買における瑕疵担保責任の範囲が変更されました。従来、売主は買主に物件に隠れた瑕疵があった場合でも、その瑕疵を知らずに売却したことを証明することで責任を免れることができました。しかし、改正民法では、売主は瑕疵を知っていたかどうかを問わず、物件に隠れた瑕疵があった場合は原則として責任を負うことになりました。つまり、売主は瑕疵について無過失でも責任を負うことになったのです。
契約不適合責任と買主の権利

改正民法の無過失責任とは、売買契約において、売主が買主に対して、売買対象物の品質に瑕疵(欠陥)があった場合、過失の有無にかかわらず賠償責任を負うことを規定しています。これにより、従来の過失責任主義から無過失責任主義へと改められ、買主の権利が強化されました。
契約不適合責任とは、売買契約において、売買対象物が契約内容と異なる場合に、売主に生じる賠償責任のことを指します。改正民法では、契約不適合責任の範囲が拡大され、瑕疵の有無にかかわらず、売買対象物が契約内容と異なる場合に、売主は買主に対して賠償責任を負います。このため、買主は、瑕疵がなくても、契約内容と異なる場合は、売主に対して損害賠償請求や契約解除を求めることができます。
売主が負う無過失責任の具体例

改正民法の無過失責任では、売主はたとえ過失がなくても建物の欠陥について責任を負う場合があります。具体的には、以下の欠陥が該当します。
* 建築基準法に違反している欠陥
* 契約内容に違反している欠陥
* 通常の使用に支障をきたす欠陥
* 買主が認識できなかった重大な欠陥
例えば、建築基準法に違反して耐震強度が不十分な建物や、契約で約束した設備が設置されていない物件は、売主の無過失責任の対象となります。また、通常使用時に水が漏れてきたり、構造に不具合があるなど、買主が普通に使っていて問題が発生する欠陥も対象となります。さらに、買主が契約前に知ることができなかったような重大な欠陥、例えば地盤沈下やシロアリ被害なども無過失責任の範囲に含まれます。