既存宅地の制度とは?都計法の特例を分かりやすく解説

不動産取引の初心者
『既存宅地の制度』について詳しく教えてください。

不動産の研究家
市街化調整区域内においては原則住宅建築は許可されないが、特定の条件を満たせば許可が不要となる制度です。

不動産取引の初心者
その条件とは具体的にどのようなものでしょうか?

不動産の研究家
都市計画法第43条第1項第6号に該当するもので、要約すると、都市計画が決定される前の居住部分の土地で、適正に保全されているものです。
既存宅地の制度とは。
市街化調整区域においては、通常は住宅を建築することができません。ただし、都市計画法第43条1項6号に規定する「既存宅地」にあたる場合には例外的に許可なく建築できます。これが「既存宅地制度」と呼ばれている制度です。
既存宅地の制度の概要

既存宅地の制度とは、都市計画法の特例で、都市計画区域内にある、昭和49年(1974年)6月13日以前に建築確認を受けた既存の建物によって形成された宅地を指します。この制度では、計画的に開発されておらずとも、一定の要件を満たす既存の宅地を、その規模や形状に合わせて合法的な宅地として認め、都市計画の規制緩和などの優遇措置が受けられます。
市街化調整区域とは?

市街化調整区域とは、都市計画法(都計法)で定められた、市街化を抑制する区域のことです。原則として、住宅や商業施設などの建物を建てることはできません。ただし、農業や林業などの一次産業に関連する施設や、生活に必要な小規模な建物は認められています。市街化調整区域は、都市の無秩序な拡大を防ぎ、自然環境や農地を保全することを目的としています。
既存宅地の要件

既存宅地の要件
既存宅地とは、建築基準法上の道路に2メートル以上接する土地で、現に住宅が建っている土地を指します。ただし、以下のような要件を満たしている必要があります。
* 住宅が住居として適格かつ常時使用されていること
* 住宅が建築基準法に基づいて建てられていること
* 住宅が建築後10年以上経過していること
これら3つの要件をすべて満たす土地が、既存宅地として認められます。既存宅地は、都道府県や市町村が定める「条例に基づく特例」によって、面積や建ぺい率などの建築基準が緩和される場合があります。
既存宅地のメリット・デメリット

既存宅地制度には、利点と欠点があります。メリットとしては、次のようなものが挙げられます。まず、すでに宅地として認められている土地なので、新たな開発許可を取得する必要がなく、開発がスムーズに進められます。また、用途地域や容積率などの制限が緩和されており、より自由な設計が可能になります。さらに、固定資産税の減免措置が受けられる場合もあり、経済的な負担が軽減されます。
一方、デメリットとしては、次のようなものがあります。まず、既存宅地として認められる要件を満たす必要があります。例えば、一定期間以上住宅が建っている必要があります。また、開発計画が既存の街並みと調和する必要があります。さらに、既存宅地制度の対象とならない土地もあり、すべての土地が活用できるわけではありません。
既存宅地の制度を利用する際の注意点

既存宅地の制度を活用する際には、いくつかの注意点があります。特に重要な注意点として、現実に建物が建っていたとしても、その建物が確認法に基づいて確認申請を受けていない場合、既存不適格となり、制度の適用が受けられません。また、建物が用途地域における用途制限に違反している場合や、敷地が開発制限区域に指定されている場合は、制度の適用が制限されます。さらに、開発行為を行う際には、通常通りに届出や許可が必要となりますので、注意が必要です。